一宮市の花屋がAI導入で迷わないために、今日から始める「業務の書き出し」とは
愛知県春日井市で6年間カーリース店を経営し、現在は一宮市をはじめとする愛知県北部9市町の店舗を訪問して、AI導入の伴走支援を行っている立場から、一宮市で花屋を営む経営者の皆様へ向けてこの記事を書いています。
一宮市には、地域の人々の暮らしや冠婚葬祭に寄り添う魅力的な花屋がたくさんあります。日々、花の仕入れや水揚げ、アレンジメントの制作、配達、接客などに追われ、忙しい毎日を過ごされていることと思います。その中で「AI」という言葉を耳にしても、「うちのような小さな花屋には関係がない」「何から始めればいいのかわからない」と感じるのが自然な反応ではないでしょうか。
まずは、私たちが置かれている現状を客観的な数字から見てみましょう。
総務省統計局「令和6年経済センサス‐基礎調査」確報(雇用者のいない個人経営の事業所を除く)によると、一宮市の事業所数は14,228にのぼります。この多くの事業所の中で、AIを実際に業務に取り入れているところはどのくらいあるのでしょうか。
中小企業基盤整備機構が公表した「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(2026年3月・有効回答1,668社)によると、中小企業のAI導入率は20.4%(全社的3.6%+一部業務16.8%)にとどまっています。一方で、「導入予定はない」と回答した企業は61.0%に達しています。
さらに、同調査においてAI導入に踏み切れない理由を尋ねたところ、「現状で満足しており必要性を感じない」と答えた割合は、導入予定なし層で27.7%、検討中層で4.0%という結果でした。日々の業務が何とか回っているからこそ、あえて新しい技術を取り入れる必要性を感じにくいという実態が伺えます。
また、総務省「令和7年版 情報通信白書」(図表I-1-2-15・日本 n=515)によると、「効果的な活用方法がわからない」と回答した割合は、日本が30.1%であるのに対し、米国は9.7%となっています。日本では、AIという道具そのものは知っていても、それを自分の商売にどう結びつければよいのかイメージできない経営者が多いことがわかります。
このような現状を踏まえ、一宮市の花屋の皆様が、周りの動きに焦ることなく、かつ時代の変化に取り残されないために、「何から始めるべきか」をお伝えします。結論から申し上げますと、特定のAIツールを調べる必要はありません。大切なのは、道具を選ぶ前に「順番」を間違えないことです。
花屋におけるAIの導入準備とは
花屋におけるAIの導入準備とは、仕入れ、水揚げ、店頭販売、配達、SNS発信、経理といった日々の細かな作業手順をすべて書き出し、可視化することです。
具体的には、毎朝市場で花を買い付ける作業、持ち帰った花の葉を落として水揚げする作業、店頭に並べるPOPの文面を考える作業、注文を受けたアレンジメントの制作、配達ルートの確認、そして日々の売上管理やSNSへの写真投稿など、頭の中で行っているすべてのアクションをノートやパソコンに1つずつ書き出していきます。
この作業手順の書き出しを行わずに、世間で流行しているAIツールをいきなり導入しようとすると、失敗に終わる可能性が高くなります。なぜなら、自分たちのどの作業が、どのような手順で行われているかを整理できていなければ、AIに何を任せればよいのか判断できないからです。
初回の店舗訪問では、道具の話をする前に、実際の業務フローを見せてもらう。そのうえで、何をAIに任せられるかを一緒に選ぶ。順番を逆にすると、入れたのに使われないまま止まる。
(公式HP「来店伴走の流れ」より)
まずは、店主であるあなたやスタッフの皆様が、毎日どのような動きをしているのかを客観的に見つめ直すことが最初の1歩です。
たとえば、母の日や送別会シーズンといった繁忙期に、どのような問い合わせが多く、それに対してどのような返答を返しているでしょうか。あるいは、仕入れた花のケア方法をスタッフ間でどのように共有しているでしょうか。こうした具体的な作業の1つひとつが、将来的にAIを役立てるための重要な土台になります。
どれだけ技術が進歩しても、私たちが営む商売の本質は変わりません。お客様に喜んでいただける花を仕入れ、美しく仕立てて、笑顔でお届けする。そのすべての過程において、最後に責任を持つのは人間です。
最終の判断・決断・責任は、人が負います。AIがいくら賢くなっても、そこは代替されません。だから現場に行って、当事者として一緒に考える必要があります。
(代表 佐藤の考え)
AIはあくまで、私たちがよりお客様に向き合う時間を作るための補助手段に過ぎません。だからこそ、まずは自分たちの足元を見つめ、日々の業務を書き出すことから始めてみてください。
一宮市で14,228の事業所がそれぞれの営みを続けているように、花屋の皆様にも、その店だけの独自のこだわりや業務の流れがあるはずです。今日できる最初の1歩として、まずは手元のメモ帳に「今日やった作業」を3つだけ書き出してみませんか。その小さな一歩が、これからの店舗経営を支える確かな土台になっていくでしょう。
出典
本文中の数字は、次の公的統計にもとづいています。
- 総務省統計局「令和6年経済センサス‐基礎調査」確報(雇用者のいない個人経営の事業所を除く)
www.stat.go.jp で見る - 中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」2026年3月(有効回答1,668社)
www.smrj.go.jp の報告書(PDF) - 総務省「令和7年版 情報通信白書」図表I-1-2-15(日本 n=515)
www.soumu.go.jp で見る
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